「空き家を売却する際には税金がかかるのだろうか」
「空き家売却時に注意することはなんだろう」
このように空き家の売却で疑問点をお持ちの方は多いでしょう。
しかし、空き家売却時には税金や特別控除について正しく理解することが大切です。

そこで今回は、空き家売却時の税金や特別控除について詳しく解説します。

□空き家売却時に税金はかかる?

空き家を売却した際に利益がでるでしょう。
その場合は、利益に対して「譲渡所得税」と「住民税」がかかります。
譲渡所得税の税率は、空き家を所有していた期間で異なります。

5年を超えて保有していた不動産を売却した際には譲渡所得税率は15パーセント、住民税は5パーセントです。
5年未満だと譲渡所得税率は30パーセント、住民税は9パーセントとなります。

また、平成25年から平成49年までは、復興特別所得税として各年分の基準所得額の2.1パーセントを所得税として納める必要があります。

相続した実家を売却する際には、保有期間には親が実家を所有していた期間を含みます。
それゆえ、相続直後の売却は親が5年以上不動産を保持していれば長期譲渡所得の税率が適用されるでしょう。

□空き家を売却する際にかかる税金の種類とは?

空き家売却時にかかる税金は全部で5種類あります。
税金と言ってもその内訳として様々な種類の税金が発生するので、それぞれについて詳しく解説します。

まず1つ目は、譲渡所得税です。
不動産を譲渡した際に得た利益に対して課税される税金を指します。
また、譲渡所得は、譲渡した所有期間が5年以内の「短期譲渡所得」と、所有期間が5年超えの「長期譲渡所得」の2つがあります。
譲渡所得にかかる税金は短期譲渡所得では39パーセント、長期譲渡所得では20パーセントです。

2つ目は、住民税です。
都道府県や市区町村が行政サービスを維持するために必要な経費を、そこに居住する住民が分担して支払う税金です。
空き家の売却によって利益が出た際には、譲渡所得の額に応じた住民税が発生します。

3つ目は、印紙税です。
様々な取引等に伴って契約書や領収書などの文書を作成する場合があります。
その際に、印紙税法に基づいて、その文書に課税される税金のことです。
例えば、空き家を売却した際に売買契約書に添付する収入印紙の代金で、売却代金に応じて印紙税の金額が変わります。

4つ目は、復興特別所得税です。
東日本大震災からの復興に必要な財源確保のために創設された税金のことです。
すべての納税者が負担する税金で、会社員などの給与所得者は源泉所得税について、復興特別所得税額も含めて徴収されるでしょう。
また、空き家売却で利益を得た際には、所得税に復興特別所得税をかけたものが課されます。

5つ目は、登録免許税です。
不動産の所有権を登記する場合や抵当権を登記する場合に、登記所で納付する税金のことです。
空き家の売買契約の成立後に、名義変更の際にかかる税金になります。

以上が、空き家売却時にかかる税金の種類でした。
現在、空き家をお持ちで売却を検討されている方は、税金の種類を正しく理解しておきましょう。

□3000万円特別控除について解説します!

相続後に空き家を売却した場合は、譲渡所得から最大3000万円が控除できる制度があります。
その制度を「空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例」と言います。
ここでは、その制度について詳しく解説します。

まず対象期間についてです。
相続、または遺贈により取得した被相続人居住用家屋、あるいは被相続人居住用家屋の敷地等を平成28年4月1日から令和5年12月31日までの間に売却する場合になります。

次に要件を以下に示します。
・昭和56年5月31日以前に建築された家屋(区分所有建物登記を除く)
・相続してから譲渡時まで貸付、居住等をしていないこと
・売却価額が1億円以下であること
・相続の開始の直前において被相続人が一人暮らしであること
・相続の開始日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却すること
・建物付きで売却する際には耐震基準を満たしていること
・更地にした後に売却する際には、譲渡時までに建物が取り壊されていること
・更地にした後に売却する際には、取り壊し費用を売主が負担すること

以上が、制度利用の要件となります。
この要件を正しく満たしているか確認しましょう。

□譲渡所得とは?

続いて、譲渡所得に関して解説します。
不動産を売却した際に得られるお金のことを譲渡所得と言います。

譲渡所得は、譲渡価額(売却価格)から取得費(土地について購入後に建物ついては購入額から減価償却費を控除した価額)と譲渡費用(仲介手数料や印紙税、測量費など売却に要した費用)を引いた金額になります。

譲渡価額に関しては価額と表記されており、厳密には売却「価格」のことではないことがポイントでしょう。
価額とは値段のことではありません。
品物の値打ちに相当する金額を表す言葉になります。
それに対して、価格とは値段のことを指しています。

具体的には、不動産売却で固定資産税の精算を行った際には、売却価格に固定資産税精算金を加えたものが譲渡価額となります。

また、譲渡費用に関しては、具体的には以下のものが該当するので把握しておきましょう。

・売却の際の仲介手数料
・売却のために要した測量費
・売却の売買契約書に貼付した印紙税
・売却に伴う広告費
・売却に伴い支払った立退料
・売却時の建物の取り壊し費用

以上が、譲渡費用になります。
なお、住宅売却時には譲渡益が発生した時のみ税金が発生するので把握しておきましょう。
譲渡損失が生じた場合には、税金が発生しません。

建物については、取得費を求める際には、減価償却という手続きを行います。
減価償却とは、建物の価値を落としていく会計上の手続きのことです。

減価償却の手続きで、取得費は新築当初から年々下落していくでしょう。
しかし、住宅の売却によって、取得費の下落以上に市場価格の方が下がることが頻繁にあります。
それゆえ、計算の結果、譲渡損失が発生することの方が多いでしょう。

□空き家売却時に注意することは?

空き家を売却する際には、いくつか注意点があります。
事前に基礎的な知識だけでも身につけておくことで損を回避できるでしょう。
ここでは、空き家売却時の注意点を4つ解説します。

まず1つ目は、契約不適合責任で損害賠償もありえることです。
売主には契約不適合責任という建物が契約内容に適合していない場合に買主に対して負う責任があります。
契約内容に品質不良や品質の違い、数量の不足などがある場合には買主は債務履行という形で以下の請求を行えます。

・追完請求
・代金減額請求
・契約解除
・損害賠償請求

以上が、債務履行という形で行える請求になります。
空き家の売却でよくある例は、契約時点で買主に知らせてなかったシロアリや柱の腐食、雨漏りなどの瑕疵と言われるものが発見され、修理費用が請求される場合があることです。

空き家売却においては、インスペクション等を依頼して建物の状態をしっかりと確認、修繕することが必要になるでしょう。

2つ目は、相続した場合は名義変更からすることです。
相続したからといって不動産名義は勝手に変更されません。
相続の後、相続登記を行い名義変更しなければ、売却は不可能です。

相続登記は法務局にて行えます。
手続きが複雑であるため、司法書士に依頼する方もいらっしゃいます。
その際の相場は7万円から10万円程度となっています。

ただし、自分で行うことも可能です。
そういった作業や理解を苦痛に感じない方はぜひやってみてください。

3つ目は、売却に強い有料企業を選択することです。
不動産会社には不動産開発業、不動産管理業、不動産売買業の3つの専門分野があります。
その中で、売却に強い不動産売買業を専門とする会社を選択する際には、その不動産会社のホームページに売買業について書かれているか確認しましょう。
サイトを確認すれば、どの分野に力を入れているのかを確認できます。

また、担当者が信頼できる方かどうか確認もしましょう。
空き家の売却は築年数の浅い物件と比較して売れにくいものです。
それゆえ、担当者が親身になって相談に乗ってくれるかどうかは今後の売却の行方を大きく左右するでしょう。

4つ目は、むやみにリフォームや解体をしてはいけないことです。
リフォームを実施すると、査定額を多少はあげることもできるでしょう。
しかし、リフォーム代を補うほどのものではないです。
それゆえ、解体して更地にすることが必ずしも買い手にとって親切な行為であるとは言えないでしょう。

仮にリフォームしたとしても、その方が売れないこともあるでしょう。
リフォームした結果、買い手の趣味に合わなくて嫌煙されてしまうこともあります。
最近では、古い家と土地を買って自らリフォームしたい人もいらっしゃいます。
また、DIYしたい方もいらっしゃるでしょう。

それゆえ、リフォームをあえて施さずに「古家付き土地」として販売する方が早く、かつ高く売れることもあります。

また、解体して更地にすると買主が住宅ローンを組めないこともあります。
土地だけを販売する場合は、買主は通常の住宅ローンを使用できません。
住宅ローンはあくまでも、土地と建物が対象で土地だけで利用できないです。

その際には、「土地先行融資」や「つなぎ融資」といった、特殊なローンを組む必要があります。
それゆえ、買い手の手間を大幅に増やしてしまうでしょう。

以上が、空き家売却時の注意点でした。
これらの注意点を把握しておきましょう。

□まとめ

今回は、空き家売却時の税金や特別控除について詳しく解説しました。
空き家売却時には様々な税金が発生するため事前に把握しておき、支払うようにしましょう。
また、その際には3000万円特別控除などの制度をうまく利用しましょう。
この記事を参考にしていただけたら幸いです。

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