離婚を機に自宅の売却をお考えの方も多いのではないでしょうか。
中でも、住宅ローンが残った家を手放す場合は返済を続ける必要があります。
家を売却する際には、いくつかのポイントを押さえておくことは後悔しないためにも大切です。
そこで今回は、離婚で住宅ローンの残った家を売却する際のポイントをご紹介します。

□離婚で住宅ローンの残った家は売却すべき理由をご紹介!

これから住宅ローンの残った家を売却すべき理由を3つに分けて説明します。
離婚をした後に家を残すことでトラブルを招く可能性があります。
トラブルの事例を以下に示します。

・元夫と約束した住宅ローンの支払いが止まり、家から追い出されそう
・家を売りたいが共有名義の元妻と連絡がとれなくなってしまって売れない
・元夫がローンを返済できず、連帯保証人である自分のもとに請求が来た

このように家を売る際には、元夫または元妻と連絡を取る必要が出てきます。
離婚後は非協力的であったり、連絡が取れなくなったりすることがあるので注意しましょう。

1つ目は家を売るには名義人の同意が必要であることです。
妻と夫で共有の名義にしている場合は、登記簿謄本に記載されているそれぞれの持ち分を確認するようにしましょう。
また、持ち分がある場合はどちらかが単独で売却できないので注意してください。
そのため、共有名義のまま離婚すると、売却する際に協力する必要があることを押さえておきましょう。

2つ目は離婚による連帯保証の解除が困難であることです。
離婚によって解除されるのは夫婦関係のみであるため、連帯保証は継続されます。
住宅ローンを完済するまでは支払い義務が生じるため注意しましょう。

3つ目は離婚後に家から追い出される可能性があることです。
離婚条件として妻と子供が家に残る場合もあるでしょう。
しかし、元夫の収入の保証はないため、住宅ローンが払えなくなる可能性があります。
長期間でローンの返済を計画されている方は、離婚条件によっては不利になる場合があるので注意してください。

□家を財産分与するときの一般的手順をご紹介!

これから家を財産分与する際の大まかな手順を3つに分けて説明します。

1つ目は不動産の所有名義を確認することです。
まずは不動産の権利関係がどうなっているのか確認するようにしましょう。
不動産を購入する際に、配偶者のみの名義にしている方は少なく、税金対策として夫婦共有の名義にしている方が多いです。
財産分与を始める一歩としては、不動産の権利関係を明確にすることが大切です。

2つ目は不動産の価値を確定することです。
不動産の市場価格から不動産ローンの残債務を差し引いたものが不動産の価値となります。
不動産の時価価値を知りたい場合は、不動産取引の会社に見積もりを依頼すると無料で出してくれるので利用しましょう。
また、ローンに関しては借入先の金融機関に問い合わせれば、残高明細を確認できます。

3つ目は分配方法を検討することです。
不動産に価値がある場合は、財産分与の対象となります。
不動産の市場価値よりもローン残債が上回る場合は、不動産価値はゼロであるため財産分与の対象にはなりません。
不動産の利用を配偶者の一方が希望したのであれば、相手の不動産持ち分を買い取る必要があるので注意しましょう。

□財産分与の考え方についてご紹介!

ここでは家を売却した際にどのようにして分けるのかについて説明します。
まず、財産分与とは夫婦が離婚中に協力して築いた財産を、それぞれで分け合うことを指します。
不動産は土地やマンション、一戸建ても財産分与の対象に含まれることを押さえておくと良いでしょう。
基本的に、不動産を売却した際に手元に残った金額は、お互いの収入に関係なく2等分されます。

財産分与の対象に含まれないケースとはどのようなものがあるのでしょうか。
婚姻前から譲り受けたり、自分で購入したりした不動産に関しては対象外となります。
このような夫婦共同で形成した財産を特有財産と呼びます。

また、住宅ローンが残っている場合は、現在の家を売却しても完済できなければ財産分与の対象外となるので注意しましょう。
売却で得たお金のすべてをローンの支払いに充てると、自分たちの財産にはならないからです。

次に、婚姻前に購入した家でも財産分与の対象となるケースにはどのようなものがあるのでしょうか。
婚姻前に夫婦どちらかが購入した不動産を婚姻後も支払う場合、婚姻後に支払ったローンは共有財産の対象となります。
婚姻後に支払った額を確認して、その割合から共有財産となる金額を計算するようにしましょう。

さらに、財産分与と慰謝料は別であることを押さえておきましょう。
財産分与は以下の3つに分けられます。

・婚姻中に共同で形成した共有財産を清算する、清算的財産分与
・離婚で生活が苦しくなる配偶者に対してなされる、扶養的財産分与
・慰謝料を相手に請求できる、慰謝料的財産分与

家を売却してお金を財産分与でもらったとしても、別に慰謝料を請求できます。
ただし、財産分与に慰謝料が含まれていた場合は請求できないので注意しましょう。

□マンションと一戸建ての売却の違いについてご紹介!

マンションと一戸建てを離婚を機に売却する際の違いについて説明します。
マンションと一戸建てでのどちらを売却する場合でも、基本的にやるべきことは同じです。

マンション売却の場合、新築プレミアムがあるため1年目に価値が10パーセント下がるもののその後は安定していることが特徴です。
離婚で家を売却するケースでは、築年数が浅いマンションを売却することも多いでしょう。
また、購入してすぐに売却するのはもったいないと考えるかもしれませんが、比較的安定して推移している間であれば損失は少ないでしょう。

一戸建ての場合はマンションとは違い、土地があるかないかが変わります。
建物は経年劣化によって価値が下がっていきますが、土地価格は変化しません。
そのため、土地売却をする際は建物自体に価値がなくても、土地の価格で取引が可能です。

両者に関して、築年数や資産価値の変化における違いはあるものの、売却できるかはニーズ次第になります。
また、一戸建てでは売りやすさが違うと言われることも少なくありませんが、参考にならないケースも多いです。
実際の価値を知りたい場合は、売却時に専門家のもとへ相談しに行くことをおすすめします。

□離婚で家を売却する際の注意点をご紹介!

離婚を機に家を売る際には、トラブルを深刻化させないためにも注意すべきポイントがいくつかあります。
ここでは財産分与のタイミングと住宅ローンの有無について説明しますのでぜひ参考にしてください。

まず、財産分与のタイミングについてです。
財産分与は家を売却した代金を夫婦で分割することですが、分与を行うタイミングを間違えると損をする可能性があります。
また、住宅ローンが残っている状態の売却を考えている方は、より慎重に進めることが大切です。
離婚を機に家を売却する場合、財産分与は離婚後に行うようにしましょう。

財産分与とは、婚姻中に夫婦で築いた財産を公平に分割することです。
例えば、家の売却金額が1000万円であれば、夫婦で500万円ずつ分割することになります。
離婚後おすすめする理由として、離婚前に財産を分けてしまうと贈与に当たるため贈与税を支払う必要が出てくることが挙げられます。
一方で、離婚後に財産を分配すれば財産分与に当たるため、控除を受けることによって税金を支払わずに済みます。

では、贈与と財産分与の違いとはなんでしょうか。
贈与は財産を無償で分け与える行為を指し、贈与税の課税対象となります。
一方で、財産分与とは、婚姻中に築いた財産を離婚後に分け合うことを指し、贈与税は非課税となります。
家という資産価値を夫婦で無駄なく分けるためにも、財産分与のタイミングは離婚後に行う方が良いでしょう。

ただし、夫婦で50パーセントの割合で住宅を共有所有している場合は例外です。
夫婦共有名義であれば、初めから財産分与している状態となるため、離婚前に財産分与を行っても問題ありません。

次に住宅ローンの完済が必要である点について説明します。
基本的には、住宅ローンの返済ができない不動産は売却できません。
住宅ローンがある場合は、売却資金や自己資金を使用して完済しなければなりません。

万が一、ローンの返済が難しいという場合は、家の売却が認められないケースもあるため注意しましょう。
住宅ローンが残っている家の売却を検討されている方は、家を売却することでローンを完済できるかどうかを確認しましょう。
不動産の売却価格でローンを完済できない状態をオーバーローン、不動産の売却価格で完済できる状態をアンダーローンと呼びます。

それでは、オーバーローンの際に家を売却することは可能なのでしょうか。
オーバーローンの場合は基本的に家を売却できません。
しかし、オーバーローンでも家を売却したい場合の手段として任意売却という方法があります。

任意売却とはどのような売却方法なのでしょうか。
通常、ローンが完済できないと不動産は売却できませんが、任意売却はローンの借り入れ際の金融機関の許可によって売却を進められる方法のことです。
ただし、任意売却の場合、細かい手続きややり取りが必要となることに加え金融機関への信用も失うというデメリットもあります。
そのため、任意売却を検討する際はあらかじめよく理解した上で判断することが大切です。

□まとめ

今回の記事では、離婚で住宅ローンの残った家を売却する際のポイントをご紹介しました。
家の売却には名義人の同意が必要であることを押さえておきましょう。
また、離婚を機に売却をされる方は、タイミングにも注意して課税対象とならないように注意しましょう。
今回の内容を参考にして役立てていただければ幸いです。

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