「使わない田んぼがあって対処に困っている」
「田んぼの売却方法や売却するときの注意点について知りたい」
田んぼをお持ちの方でこのようにお考えの方は多いでしょう。
田んぼや畑などの農地の売却は、通常の土地を売却する場合とは異なる部分があるため、注意が必要です。
今回は、使わない田んぼを売却する方法や手順、注意点をご紹介します。
福井・北陸周辺で田んぼの売却をお考えの方は、ぜひ参考にしてみてください。

□使わない田んぼを放置することによるデメリットとは?

田んぼの売却についてご説明する前に、使わない田んぼを放置するデメリットをご紹介します。
使わない田んぼを放置するとどのようなデメリットがあるのでしょうか。
今回は、3つのデメリットをご紹介します。

1つ目は、固定資産税がかかることです。
基本的に不動産全般には、毎年固定資産税がかかります。
固定資産税は、毎年1月1日の所有者に対して納税の義務が課せられます。
たとえ使用していなくても所有しているだけで毎年税金を負担する必要があります。

固定資産税は、固定資産税評価額に税率をかけて計算します。
固定資産税評価額は、土地の持つ資産価値を評価したものです。
農地に関しては、その土地で得られる収益も評価に含められます。
そのため、通常の住宅などの税額を求めるよりも計算が複雑になりやすく、高額になるケースもあります。

2つ目は、税負担が増えることです。
耕作されていない農地の増加への対処法として、近年、耕作されず空き地になっている土地の課税を強化する動きがみられています。

たとえば、平成29年の税制改正によって、限界収益修正率の調整が撤廃されています。
限界収益修正率とは、土地で期待される年間利益の割合のことで、従来は調整によって課税評価額が55パーセントまで減額されていましたが、この調整が撤廃されました。
そのため、放置していると通常の1.8倍もの固定資産税を納めることになり、多くの所有者にとって非常に大きな負担となるでしょう。

3つ目は、再利用できなくなることです。
長い間放置された田んぼは、再利用できない可能性があります。
長時間の放置で生じる問題は、単に雑草が生い茂って処理が大変になるという問題だけではありません。
他にも、住み着いてしまった害虫や害獣をどのように除去するか、害虫や害獣によって荒れた田んぼで米は育つのかといった問題もあります。

また、不法投棄が問題となっており、近隣トラブルに発展したり、不法投棄による火災が発生したり、再利用への撤去費用が大きくかかったりといった問題もあるでしょう。

田んぼを放置することで、このようなデメリットや問題があなたを悩ませる可能性があるため、使わない田んぼがある方はできるだけ早めに売却の決断をすべきでしょう。
次章から田んぼの売却についてご紹介していきます。

□田んぼの売却方法をご紹介!

田んぼを含めた農地を売却できるのは、農家や農業参入者の方になります。
また、食料を生産する農地は国にとって貴重な土地と考えられているため、自己判断では売却できません。
農業委員会へ申請する必要があります。
許可が下り、田んぼを売却できる場合は、田んぼのまま売却するか、転用して売却するかになります。

それぞれご紹介します。

*田んぼのまま売却する

この場合は、農業を専業としている人が買い手の対象になります。
これから新しく農業を始めるという方や、投資目的の方へは売却できません。
具体的には、以下の条件をクリアしている農家に対して売却できます。

・専業の農業従事者である
・取得後50ヘクタール以上(地域により異なる)の農地を保有している
・所有農地のすべてを耕作している
・農業のための人材・機械を所有している

このような条件も設けられているため、そのまま売却する場合は通常の不動産売却より買い手が限られます。

*転用して売却する

農地転用とは、農地を農業以外の他の目的で利用することです。
農地を相続した場合や農業を引退する場合に、田んぼを駐車場にしたり、店舗や家を建てたりできる場合があります。
転用できるかどうかは、立地基準と一般基準の2つの条件をもとに審査されます。

立地基準をクリアするためには、所有している田んぼが第2種農地か第3種農地に区分されている必要があります。
農地は、農用地区域内農地、甲種農地、第1種農地、第2種農地、第3種農地の5種類に分けられています。
この区分けのことを立地基準と言い、ご自身の田んぼの区分は、管轄エリアの農業委員会に問い合わせると分かります。
傾向としては、市街地に近い農地ほど申請が下りやすいです。

また、満たすべき一般基準には次のようなものがあります。
・転用する事業が申請通りに行われるか
・周辺農地へ良くない影響を及ぼす可能性はないか
・転用後の事業を問題なく行えるだけの資金や計画性はあるか

転用してどういった目的で使用するのか、それが地域にとって悪い影響を与えないかといったことが審査されます。

□田んぼの売却するときの手順をご紹介!

続いて、田んぼの売却手順をご紹介します。
こちらも、田んぼのまま売却する場合と、転用して売却する場合とに分けてご紹介します。

*田んぼのまま売却する

手順は以下の通りです。

1:買い手を探す
ご自身で田んぼを買い取ってくれる近所の農家がいないか探したり、農地を取り扱っている不動産会社に相談したりするなどして買い手を見つけます。
また、農業委員会に相談すると農地を探している人を紹介してもらえる場合があるので、ぜひ一度相談してみましょう。

2:売買契約を締結する
買い手が見つかったら、売買契約を結びます。
売却許可は時間を要するので、先に売買契約を締結するのが一般的です。
この場合、契約書に「売却許可が得られなかった場合は契約を白紙にする」などと明記しておくとトラブルを避けられます。

3:農地売却の許可申請を行う
契約後、管轄エリアの農業委員会に売却許可を申請します。
提出した書類を参考に、売り手のことや田んぼの状況、買い手が所有者として問題ないかなどが審査されます。
約1ヶ月~2ヶ月かかります。

主な必要書類は次の通りです。
・登記事項証明書
・付近見取図
・賃借人等の同意書(農地を貸し出している場合)
・相続関係図等(登記名義人が死亡している場合)
・位置図
・法人調書(買い手が法人の場合)
・営農計画書
・公図の写し
・耕作証明書
・売買契約書の写し
・農地等権利移動許可申請書

4:仮登記
仮登記は買い手が行う作業なので、前所有者の方は特に気にしなくて大丈夫です。

5:売却許可後に本登記と精算
売却の許可が下りたら、引き渡しと本登記に進みます。
売買代金を精算して引き渡しをしたら完了です。
売却で利益が発生した場合は、確定申告を行う必要があることを忘れないでくださいね。

*転用して売却する

手順は以下の通りです。

1:不動産会社に売却の依頼をする
特に農地売買の実績が多い会社に依頼すれば、転用や売却がスムーズに進みやすいですし、転用の複雑な手続きも相談しながらできます。

2:農地転用の許可申請を行う
農地転用の許可申請では複雑な書類も多いため、行政書士に委託することをおすすめします。
また、農地が4ヘクタール以上の場合は農林水産大臣、4ヘクタール以下の場合は都道府県知事の許可が必要なので、それぞれに宛てた農地転用申請書を提出してもらいます。

転用許可申請の主な必要書類は次の通りです。
・登記簿証明書
・賃借人等の同意書(農地を貸し出している場合)
・相続関係図等(登記名義人が死亡している場合)
・位置図
・公図の写し
・周辺土地利用状況図
・現況写真
・事業計画書、土地利用計画図等
・建物等の平面図、排水計画図等
・資金計画書
・預貯金残高証明書、融資見込み証明書
・土地改良区の意見書
・地区除外申請書

3:売買契約を締結する
買い手を見つけたら、農業委員会から許可が下りる前提で契約を結びます。
売買契約は、利用目的が転用申請に出した目的と合致している買い手と結びましょう。

4:仮登記
仮登記は買い手が行う作業なので、前所有者の方は特に気にしなくて大丈夫です。

5:転用許可後に本登記と精算
転用の許可が下りたら、精算して引き渡しを行います。
所有権移転の本登記も進めます。
農地のまま売却する場合と同様、売却で利益が発生した場合は確定申告が必要です。

□田んぼを売却するときに気を付けておきたい注意点とは?

田んぼや畑といった農地を売却する際にはいくつか注意点があります。
ここでは、3つご紹介しますのでぜひ確認してみてください。

1つ目は、農地のまま売ると価格が低くなりやすいことです。
先述した通り、農地の売却には2つの方法がありますが、農地のまま売却する場合、農業を営んでいる人以外からはあまり需要がないため、売却価格が低くなりやすいです。

2つ目は、周辺環境の整備が必要な場合があることです。
こちらは特に転用して売却する場合に言えることですが、転用して宅地などでも利用できるようにするためには、道路や周辺環境を整備した方が良い場合があります。
この場合は、建築士などの専門的な知識を有する人に頼った方が良いでしょう。

3つ目は、転用した後はすぐに売却することです。
転用後に一時的に利用してその後売却するというのは認められていません。
そのため、転用後はすぐに農地を売却する必要があります。

□まとめ

本記事では、使わない田んぼを売却する方法や手順、注意点をご紹介しました。
本稿が皆さんのお役に立てれば幸いです。
当社は、福井・北陸周辺でみなさんの不動産の売却をサポートしております。
300件以上の売却実績があり、仮に買い手がつかない場合も当社が不動産を買い取り対応させていただきます。
福井・北陸周辺で不動産の売却をお考えの方は、お気軽に当社までお問い合わせください。
当社が全力でサポート致します。

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