「田んぼを相続したが使う予定がないので売却したい」
「田んぼを売却する際の注意点が知りたい」
田んぼを手放したい方で、このようにお考えの方は多いでしょう。
田んぼは通常の不動産の売却とは異なる部分があるため、いくつか確認しておきたいことがあります。
そこで今回は、田んぼの売却における相場や売却方法、注意点などをご紹介します。
福井・北陸周辺で田んぼの売却をお考えの方は、ぜひ参考にしてみてください。

□田んぼの売却について

先述した通り、田んぼの売却は通常の不動産の売却とは異なる部分があり、通常の不動産より売却が難しいと言われています。
なぜ売却しにくいのでしょうか。
主な理由は2つ挙げられます。

1つ目は、農地法による制限があるためです。
田んぼは農地法による規定で「地目が農地のまま購入できるのは、農業委員会に許可を受けた農家」に限定されています。
そのため、まず農業委員会から許可を得る必要があります。

つまり「これから農業を始めたいので農地を買います」という人があらわれても、すぐには売却できないのです。

2つ目は、農地の地価が下落し続けているためです。
近年、田んぼや畑などの農地は価格が低下し続けています。
農地の価格が低下する主な要因は以下のとおりです。

・農業を新しく始める人や後継者が少ない
・農地の価格に見合った農業収益が得られない

このような理由から、農地を欲しがる人が減っており、農地の価格が下落し続けています。

□田んぼの売却価格の相場を調べる方法について

不動産を売却する際は、売却価格の相場を把握することが大切です。
これは、田んぼを売却するときも同様です。
田んぼの売却相場をチェックする方法は、以下の3つが代表的です。

1つ目は、不動産ポータルサイトをチェックする方法です。
スーモやライフルホームズなどのサイトには、売り出し中の農地の情報が記載されています。
こちらをチェックすれば、農地が現在いくらで売りに出されているのかチェックできます。

ただし、あくまで成約価格ではなく、売り出し中の価格が記載されているだけなので注意が必要です。

2つ目は、不動産ジャパンをチェックする方法です。
売り出し中の不動産は、全てレインズというサイトに登録されています。
しかし、このサイトは正規の不動産会社でなければログインはできません。

このレインズに劣らないデータを保有しており、個人でも使えるデータベースに、不動産ジャパンというサイトがあります。
こちらで検索をすれば、全国各地の農地の売り出し状況をチェックできます。
多くのデータを参考にしたい場合は、不動産ジャパンがおすすめです。

3つ目は、不動産一括査定サイトを利用する方法です。
上記でご紹介したサイトは、他の田んぼの価格を参考にして自分の田んぼがいくらくらいになるのか把握する方法です。
しかし、県や面積、田んぼの状況などから、1つとして同じ農地はありません。
そのため、正確性に欠ける部分は否めません。

自分の農地の相場についてより正確な価格が知りたいという場合には、不動産一括査定サイトがおすすめです。
不動産一括査定サイトでは、ご自身の田んぼに関する情報を入力することで、平均最大6社に査定して価格を算出してもらえます。
無料で利用できるため、売却を検討中の方はぜひお試しください。

□田んぼ売却の方法をご紹介!

田んぼの売却には、田んぼのまま売却する方法と、転用して売却する方法の2つがあります。
それぞれご紹介していきます。

*田んぼのまま売却する方法

田んぼのまま売却する場合は、買い手が農家や農業参入者のみに限られます。
これから新しく農業を始めるという人や、投資を目的に購入したいという方にも売却はできません。
具体的には、以下の条件を満たしている方に売却できます。

・専業の農家である
・購入した農地を含めて50ヘクタール以上の農地を有する(広さは地域によって異なります)
・所有する農地のすべてで農業を行っている
・周辺の農地へ支障がないように農業を行っている

また、売却は農業委員会の許可を得てから行う必要があります。
売却の流れは以下の5ステップで進みます。

1:買い手となってくれる農業従事者を見つける
田んぼや畑といった農地の買い手を見つけるのは、非常に難しいです。
買い手を探す方法としては、以下の方法が挙げられます。

・農地中間管理機構に農業従事者の斡旋してもらう
・農地の売却を取り扱っている仲介業者に依頼する
・全国農地ナビに農地の売却情報を掲載する

2:許可を条件とした売買契約を締結
農業委員会から許可を得る前に、先に見つかった買い手と売買契約を結びます。
これは、売却の成立が不透明だったり、買い手が不明の状態だったりすると、農業委員会から許可が下りない可能性が高いからです。

3:農業委員会に許可申請
売買契約締結後は、各市区町村役場にて農業委員会に許可申請を行います。
申請には、以下の書類が必要になる場合が多いです。

・位置図
・付近見取図
・土地の登記事項証明書
・公図の写し
・法人調書(買主が法人の場合)
・営農計画書
・耕作証明書
・契約書の写し
・農地等権利移動許可申請書

契約後、農業委員会から許可が下りなかった場合は、契約無効になります。

4:許可前に所有権移転請求権仮登記
許可が下りる前に、契約が成立することを前提に、仮登記を行います。
仮登記とは、不動産の権利を誰が持っているのかを、不動産の情報とともに仮として記録することです。
仮登記は必須ではありませんが、お互いの信頼関係を築くための大切な手続きと言えます。

5:許可後に代金支払いと所有権移転登記(本登記)
農業委員会から許可が下りて許可証が交付されたら、所有権移転登記を進めます。
その後、買い手側から売却代金を受け取り、農地売買は完了になります。

*転用して売却する方法

農地を以下のような農業以外の用途で利用することを農地転用と言います。
・住宅や店舗を建てる
・道路をつくる
・駐車場をつくる

農地転用をする場合は、農業委員会を経由して都道府県知事または農林水産大臣へ農地転用の申請をする必要があります。
どのような農地でも許可が下りるわけではなく、立地基準と一般基準の両方を満たす必要があります。
立地基準では、第2種農地と第3種農地に該当する農地にのみ転用が許可されます。

また、一般基準では以下のような条件が設けられます。
・転用後事業が申請通りに行われるか
・転用後の事業を不備なく運営できる資金・計画性があるか
・周辺農地へ悪い影響がないか

窓口で農地種別の調査をしてもらいながら、農地転用の申請作業を行っていくとスムーズに進めやすいです。

□田んぼを査定・売却する際の注意点について

田んぼを査定・売却する際には、押さえておくべき注意点がいくつかあります。
本稿では、3つの注意点をご紹介します。

1つ目は、農地の転用は許可が必要であることです。
農地を高く売ろうと思うと、最も簡単に思いつくのは宅地などに転用する方法でしょう。
しかし前述の通り、勝手な農地の転用は禁止されています。

どうしても転用したい場合は、行政に転用の許可をもらいましょう。
基本的には、農地を「宅地見込地」というステータスにして売ることが多いです。
この時、地盤改良などの造成費用が必要になるので注意しましょう。

2つ目は、売る道筋を建てることです。
農地を売る際は、農業委員会に売却許可を申請してする必要があります。
この許可をもらうのが意外と難しく、売れるかどうかの目星が全くつかない状態で申請をしても断られる可能性が高いです。
まずは買い手を見つけ、契約を結んでから申請をするようにしましょう。

3つ目は、農業委員会で認められない可能性があることです。
もし買主が見つかり契約までいっても、農業委員会から許可が得られなかった場合は売買は成立しません。
そのまま取引は白紙になってしまいます。

ただし、契約が途中でキャンセルになったからと言っても、違約金を支払う必要はないので安心してください。

□田んぼを売却する際にかかる費用について

さいごに、田んぼを売却する際にかかる費用をご紹介します。
売却方法別に必要な費用をご紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。

*不動産会社の仲介で売却するときの費用

不動産会社に仲介を依頼して売却が成立した場合は、仲介手数料を支払う必要があります。
ただし、買取などに比べ希望に近い価格で売却できる可能性も高いです。
仲介で売却する場合にかかる費用としては、仲介手数料以外に以下が挙げられます。

・抵当権抹消登記費用
・境界の測量費用
・印紙税
・所有権移転登記費用
・司法書士費用

司法書士費用は、不動産登記をご自身で行う場合にはかかりません。

*農地の転用にかかる費用

農地を転用して売却する場合は、転用・造成するために次のような費用が追加でかかります。

・農地転用手続き費用
・土地改良区域除外決済金
・行政書士費用
・宅地造成工事
・水道引き込み費用
・登記費用

*農地を売却して利益が発生する場合

農地を売却して利益が発生する場合は、収益額によって譲渡所得税を支払う必要があります。
譲渡所得は、農地の売却価格から農地購入にかかった費用や譲渡費用を差し引いて求められます。
譲渡所得税の税率は、どれほどの期間にわたって農地を所有していたかによって異なるため、ぜひ確認してみてください。

□まとめ

本記事では、田んぼを手放したいという方に向けて、田んぼの売却方法や相場の調べ方、注意点をご紹介しました。
また、田んぼを売却する際にかかる費用についてもご紹介しました。
田んぼの売却は、通常の不動産を売却する場合とは異なる部分が多々あるため注意が必要です。
本稿が皆さんのお役に立てれば幸いです。
福井・北陸周辺で田んぼの売却をお考えの方は、お気軽に当社までお問い合わせください。
お客様に満足いただけるような不動産売却を実現します。

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