不動産を売却するときに悩むことの1つに、「どの売却方法を採用するか」があります。
様々な売却方法があり、どれが自分に合っているか分からないという方は多いです。
そもそも不動産売却をしたことが無いという方が大半なので、無理もないでしょう。
今回の記事のテーマは、不動産売却の方法の1つである「不動産買取」です。
不動産買取の流れや各パートにおけるポイント、不動産買取が向いている人の特徴についてご紹介します。
不動産の売却を検討しているという方は、ぜひ参考にしてみてください。
□不動産買取とは?
不動産買取とは、「転売を目的とした不動産会社に、下取り価格で安く売却する不動産売却の方法」です。
他の一般的な不動産売却の方法として「不動産仲介」がありますが、こちらは不動産会社が買主を斡旋して市場価格で売ります。
不動産買取と不動産仲介の主な相違点は2点あります。
1つ目は、買取までの期間です。
不動産買取にかかる期間は短く、長くても1か月程度です。
一方で不動産仲介の場合、かかる期間は4~6か月ほどと長めです。
2つ目は、買取価格です。
不動産買取の方が早く確実に売れますが、買取価格は下がります。
□不動産買取に適しているケースとは?
以上の特徴を踏まえると、不動産買取に適しているケースとそうでないケースがあります。
ここでは不動産買取に適しているケースを紹介します。
1つ目は、「早く売りたいケース」です。
生活上の資金難や離婚、相続などによって住宅をすぐにでも売りたいという方もいらっしゃるでしょう。
このように一刻も早く売りたい場合は、不動産買取が良いでしょう。
2つ目は、「周りに知られずに売りたいケース」です。
ご近所トラブルといった理由により、周りに悟られずに売って引っ越しまで済ませたい、という要望をお持ちの方もいらっしゃいます。
不動産買取では販売活動を行わないため、周囲に売却することを知られずに売却できます。
3つ目は、「物件の需要が低いケース」です。
需要が著しく低い物件では、早めに買い取ってもらった方が維持費用などを考慮するとお得なこともあります。
具体的には、以下のような物件です。
・事故物件
・再建築不可物件
・田舎の土地や空き家
以上のような物件では、不動産買取が適しています。
ただし、不動産会社も転売を目的として買い取るため、あまりに状態が悪い場合は買取してもらえないこともあります。
□不動産買取の全体の流れと期間
不動産買取にかかる期間は、最短で1週間ほどです。
また、その流れは以下の通りです。
1:事前の情報収集
2:査定依頼
3:契約の締結
4:決算
5:確定申告
不動産買取では上記のようにいくつかの工程を踏む一方で、かかる期間は短めです。
これは、不動産買取の場合は買取をしてくれる業者が1つでもあれば契約が締結できるためです。
契約しつつ準備も行うのは少し大変かもしれません。
そのため、最短で売却したい方は事前に必要書類を用意しておくことが必要です。
□売買契約までの流れ
前段で大まかな流れを紹介したので、ここからはより詳細な内容をご紹介します。
ここでは、売買契約締結までの流れをご紹介します。
1.必要書類の確認
まずは「必要書類の確認」です。
なお、不動産の種類によって必要書類は変わってきます。
土地、戸建て、マンションの各々で必要な書類を挙げ、それぞれの書類についても紹介します。
*不動産ごとの必要書類の内訳
土地の不動産買取の場合に必要な書類は以下の通りです。
・登記済権利証
・登記識別情報
・固定資産税納付通知書
・土地測量図面
・境界確認書
・本人確認証
・印鑑証明書
・住民票
続いて、戸建て住宅の場合です。
・登記済権利証
・登記識別情報
・固定資産税納付通知書
・建築確認済証
・検査済証
・土地測量図面
・境界確認書
・本人確認証
・印鑑証明書
・住民票
最後に、マンションの場合です。
・登記済権利証
・登記識別情報
・固定資産税納付通知書
・マンションの管理規約
・本人確認証
・印鑑証明書
・住民票
*書類について
「登記済権利証」と「登記識別情報」は、不動産の所有権を証明する書類です。
登記完了時に法務局から交付され、2005年以前は「登記済権利証」、以後は「登記識別情報」となっています。
なおこれらは再発行ができない書類なので、紛失した場合は司法書士に本人確認情報(費用:約3万円)を作成してもらう必要があります。
「固定資産税納付通知書」は固定資産税を確認する書類で、年に一度市役所から送られてきます。
手元が似ない場合、お住まいの地域の役所で発行してもらう必要があります(費用:数百円程度)。
「建築確認済証」「検査済証」は、建築基準法を満たす一戸建てであることを証明する書類です。
一戸建ての建築時に交付され、再発行不可です。
紛失した場合には、お住まいの役所で「台帳記載事項証明書」を発行してもらい、内容確認を行う必要があります(費用:数百円程度)。
「土地測量図面」「境界確認書」は、敷地面積の広さ、隣接する土地や建物との境界線を証明する書類です。
土地や一戸建ての買取りの際に必要となります。
父の取得時に受け取ることになっており、紛失した場合には測量士に依頼して再度作成してもらう必要があります(費用:数十万円)。
「マンションの管理規約」は、マンションの管理状況やコスト、マンション仕様のルールなどが記されている書類です。
マンション売却のときのみ必要となります。
マンション購入時に交付されます。
紛失した場合は、管理会社に問い合わせましょう。
「品人確認証」「印鑑証明書」「住民票」は、物件を引き渡すときに必要となる書類です。
本人確認証としては、マイナンバーカードで十分です。
印鑑証明書・住民票はお住まいの役所で発行可能です(費用:数百円)。
2.査定依頼
査定依頼は、不動産会社に依頼します。
査定には「簡易査定」と「訪問査定」の2つがあるので、それぞれの特徴を押さえておきましょう。
*簡易査定
簡易査定は、物件の築年数や広さ、場所といった情報から不動産価格を割り出す方法です。
オンライン上ですぐに行える簡易性がメリットでしょう。
一方で実際の物件を見ずに行う査定であるため、正確性に欠けるというデメリットがあります。
*訪問査定
訪問査定は、実際に不動産会社が物件を確認して価格を割り出す査定方法です。
正確な価格が出やすいが時間がかかるという、簡易査定と真逆のメリット・デメリットを持ちます。
なお、不動産買取の場合はここでの査定額がそのまま買取価格になると考えて良いでしょう。
3.条件確認
買取をしてもらう不動産会社が決まったら、条件確認をしていきます。
具体的に確認したいポイントは、以下の通りです。
・スケジュール
・必要書類
・家財道具の処分について
・その他細かな条件
「スケジュール」については、物件の引き渡し日や入金日をよく確認しておきましょう。
特に、入金日の認識に相違があるとトラブルに発展しやすいです。
よく確認しておきましょう。
「必要書類の確認」については、不動産会社によっても多少変わってきます。
そのため、入念に準備をしておく必要があるでしょう。
万全の準備ができていれば、手続きがスピーディーにできます。
「家財道具の処分」について注目したいのは「誰が処分するのか」という点です。
不動産業者が処分する場合には、その料金についても把握しておきましょう。
後から料金がかかることが発覚、トラブルになるということもあります。
「その他細かな条件」としては、手付金の金額や契約解除の場合の取り決めなどがあります。
不動産会社の方にトラブルになり易い点を確認したり事前に実際のトラブルについて調べておき、その点を重点的に確認しておくと良いでしょう。
□売買契約と引き渡しの流れ
ここでは、売買契約から引き渡しまでの流れをご紹介します。
1.売買契約
不動産を売買するとき、売買契約書を締結する必要があります。
売買契約書は、基本的に不動産会社が作成し、定まった形のものはありません。
一度結んだ売買契約は、簡単には解除できません。
そのため、内容については慎重に吟味する必要があります。
2.引き渡し・決算
売買契約の締結後1.5~3か月を目安として、不動産の引き渡しと決算を行います。
物件の引き渡しのときは、司法書士立会いのもと書類や鍵の受け渡しも行います。
書類の用意次第比較的スムーズに売却まで移れるので、書類はあらかじめ用意することをおすすめします。
□引き渡し後の流れ
物件の売却時に譲渡所得が発生した場合、確定申告を行う必要があります。
また、確定申告後は譲渡所得税を納める必要があります。
確定申告の流れは、以下の通りです。
1:適用できる特例があるか確認する
2:確定申告に必要な書類の容易
3:譲渡所得税の計算
4:確定申告書の作成
5:確定申告書の提出
確定申告は、不動産買取を行った翌年の2/16~3/15の間に行います。
不動産買取を行ってから少し期間が空くケースがほとんどなので、忘れてしまいがちです。
しかし確定申告を行わないと、罰金として延滞税が発生してしまいます。
引き渡し後に譲渡所得がある場合、確定申告を忘れないように心がけましょう。
□まとめ
不動産買取は、短期間で売れることが特長の不動産の売却方法です。
そのため何らかの理由で不動産を早く売りたい方に向いていますが、売却価格が不動産仲介よりも安くなりやすいという欠点もあります。
これら特徴を踏まえたうえで、不動産買取をするか選ぶようにしましょう。
実際に不動産買取をすると決めた場合は、ぜひこの記事を参考にしてみてください。
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