所持している不動産を手放したいと思ったとき、大きく分けて2つの方法があります。
それは不動産買取と不動産仲介です。

「どんな状況においても必ずこちらが優れている」ということはなく、不動産売却を頼む不動産会社や売却する物件、売りたいと思っている方が優先したい事項によって向いている方法は異なります。
手間の大きさや期間など両者には差があるため、それぞれの特徴や条件を比べて選ぶと良いでしょう。
このふたつの方法について、違いやどちらを選んだらいいかを解説します。

□不動産を手放す方法の買取と仲介の違いとは

不動産売却に至るまでの方法である不動産買取と不動産仲介には、大きく分けて3つの違いがあります。
簡単な比較のため、ぜひご覧ください。

1.不動産の買主が違う
不動産仲介の場合、不動産を買うのは基本的に個人のお客さまになります。

そのため当然ではありますが、お客さまが不動産を購入したあとの使い道は購入した不動産が土地であれ住宅であれマンションであれ、基本的に自身が住むための「実需」による利用がほとんどでしょう。

しかし、不動産買取のときに不動産を買うのは不動産会社です。
不動産会社が不動産を買う理由は住むためではありません。

不動産会社は利用されていない土地や一戸建て住宅、マンションを購入し、不動産を開発、建設したりリノベーションしたりします。
そうして付加価値がつき購入時よりも高く売れる状態にし、不動産を再度販売する不動産会社の事業目的で購入します。

2.売却のための手続き期間が違う
不動産仲介の場合、購入するのは個人のお客さまになるため不動産会社に依頼した後、一から購入希望者を探します。
そのため不動産の販売価格を査定してもらった後に広告期間、販売期間もかかります。

また不動産仲介では、不動産会社が査定する金額は査定時から3ヶ月ほどで契約締結に至ることを想定して提示します。

しかし不動産の市場相場からあまりにかけ離れた価格を売り出しに設定した場合や不動産の立地条件、破損や汚損の程度によってはそれ以上の時間がかかることも珍しくありません。
購入希望者が見つかったあとも契約条件のすり合わせや引き渡し期限の設定などやることが多く、不動産売買契約が締結されてから更に2ヶ月から3ヶ月はみておいた方が良いでしょう。

一方、不動産買取の場合は不動産会社に不動産を買い取ってもらうだけのシンプルな流れになるため購入希望者を探す手間や広告、販売活動が必要ありません。
そのため販売期間も無用で、現金化までの速度は不動産仲介と比べると圧倒的にはやくなります。

また不動産買取では契約相手がその業界のプロですので、契約の中で分からないことは教えてくれますし、売却スケジュールも比較的売主の予定に合わせてくれます。
後ほど詳しく説明するそれぞれのメリット、デメリットも参考にしつつ、どちらが自分の条件に適しているかよくご確認ください。

□不動産買取のメリット

まず、不動産買取を選ぶメリットを5つ簡単にご紹介します。

1.現金化までが早い
査定の時点で買い手である不動産会社からの条件はすべて出揃うため、それを見て判断するだけの不動産買取は大変スムーズです。

相手が不動産会社であるメリットは更に、売却時の手続き簡略化や複雑な手続きを一任できること、手続きの上で不便が生じにくいことなど数多くあります。

2.内覧の必要がない
不動産買取の際には購入希望のほとんどの方は内覧してから購入するかどうかを決めるため、内覧希望が出るたびに準備が必要です。

その点不動産買取であれば一度訪問調査をして査定するだけで済むので、その手間は格段に減るでしょう。

3.仲介手数料が必要ない
不動産の持ち主と不動産会社の間は誰も仲介していないため、不動産売却の代表的な費用である仲介手数料がかかりません。

そのためコストを削減でき、売却価格自体がやや安めだったとしても仲介手数料と相殺され、結果的に同じ程度の額に落ち着く可能性が高いのです。

4.査定額と買取価格にズレが起きない
不動産買取の場合、不動産会社の査定がそのまま買取獲得となります。
不動産仲介では査定額以上の額で売れる可能性もありますが、査定額以下になる可能性もあります。
そういった可能性がないことは利点といえるでしょう。

5.瑕疵担保責任が免除される
不動産会社相手である場合のみ瑕疵担保責任が免除され、手放してから瑕疵が見つかっても責任を負う必要がありません。

□不動産買取のデメリット

続いて不動産買取を使って売却するデメリットを3つ簡単にご紹介します。

1.買取価格が不動産仲介より安い
仲介手数料の発生しない不動産買取では不動産仲介の時に売り手が追うリスクを会社が肩代わりしているため、どうしても買取価格は低めになってしまいます。

2.不動産買取を扱っている不動産会社は少ない
不動産仲介を取り扱う不動産会社は多く、地域にある店舗からどこがいいか選ぶことになるでしょう。

しかし不動産買取に対応している不動産会社は少ないため、不動産取引があまり活発でない地方の町村部では不動産会社が見つからないこともあり得ます。

3.必ず買い取ってくれるわけではない
エリアに対応していないことで断られることもありますが不動産会社が買い取ってくれるのはその後再販売するためですから、以下の項目に当てはまる場合は買い取ってくれない可能性が高まります。

・買い取っても再度販売できる見込みが薄い
・解体やリフォームなどの費用があまりに高く、再販売したとして利益が見込めない
・法令上制限がかかっており、再建築できない

とはいえこれらの項目すべてを満たしていても買い取ってくれる場合、満たしていないのに買い取ってくれない場合もあるため、一度相談してみるのをおすすめします。

□不動産仲介のメリット

不動産買取からひるがえって、不動産仲介を依頼するメリットについて3つご紹介します。

1.不動産の適正価格がわかる
適正価格を理解せず個人で交渉する場合、提示された額が不動産の適正価格なのか、それよりも高いのか低いのかがわかりません。

一方で、不動産会社であればプロのため、物件から適正な販売価格を査定できます。

2.手間が少なく済む
不動産は固定資産でもあるため、その売買には非常に複雑な手続きを必要とします。
知識としてはすべてネットに載っていても、素人が一人でやるにはどこかでミスする確率は極めて高いといえるでしょう。

しかし不動産会社に仲介を依頼することでこれらの手間は最低限で済み、難しい契約書の内容も噛み砕いて説明してもらえます。

3.契約の責任が分散される
不動産仲介業者を頼んだ上で契約を結んだ場合、不動産会社も仲介業者として売買契約書と重要事項説明書に記名と押印します。

これは不動産仲介業者が書面を作成及び調査した証拠であり、この書類の不備は不動産仲介業者にも責任があると示します。
もちろん売主の責任もありますが、プロが共に責任を追ってくれるという点は大きな安心材料になることでしょう。

□不動産仲介のデメリット

メリット、デメリットの最後として、不動産仲介によるデメリットについて5つご紹介します。

1.希望価格で売れるとは限らない
売り出し価格の決定権は売主にあるものの、それは売却の確約ではありません。
売買が遅れれば物件の価値自体も下がってしまうため、値下げが必要になる可能性があることはデメリットと言えるでしょう。

2.売却まですぐには終わらない
不動産売却は人と人の縁ですので、スムーズに見つかるとは限りません。

平均で考えても売却活動を始めてから買主が見つかるまで1ヶ月から3ヶ月、長ければ半年、1年と長引いていきます。
その後もローン審査を初めとした手続きに1ヶ月から2ヶ月かかるため、極めてスムーズに進むとしても売却まで最短で3ヶ月はかかります。

3.瑕疵担保責任を追う
不動産の欠陥や傷について、契約後も一定の期間は責任を負わなければなりません。

4.内覧対応や立ち会いが必要
買主はやはり直接物件を見てから購入したいため、内覧は必須といって良いでしょう。
内覧時には部屋を綺麗にする必要があるため、これも手間に思う人にとってはデメリットでしょう。

5.近隣の住民に売却活動が知られるかもしれない
売却価格や築年数、内装、間取りといった情報が全て筒抜けになります。
情報が筒抜けになることが嫌な方は不動産買取の方が良いでしょう。

□買取と仲介、結局どっちがおすすめなの?

*不動産買取がおすすめなケース

値段を最優先したい場合以外は、不動産買取がおすすめです。
具体的には少しでも早く現金化したいとき、売れにくい物件が売れる確率を少しでも上げたいとき、不動産を売却したいけれど手間やトラブルのリスクは避けたいときが挙げられます。

また、売却を周囲に知られず進めたい場合も不動産会社と自分の間だけで完結する不動産買取がおすすめです。

*不動産仲介がおすすめなケース

不動産買取に比べ件数も多く主流な印象のある不動産仲介ですが、こちらが向いている条件は1つしかありません。
なによりも高値で売ることを優先したい場合です。

時間も手間も不動産買取の方がかかりませんし責任もこちらの方が重くなります。
また、売れないリスクもあります。
それでも不動産仲介が多い理由は、やはり不動産という一生に一度とも言える売りものを大切にしたいからでしょう。

□まとめ

不動産買取と不動産仲介、それぞれのメリットとデメリットからどちらが向いているかの判断方法まで解説してきましたが、どちらを選択するか決まりましたでしょうか。
相続したものであれば身内から受け継いだ大切な遺産ですし、自らで購入したものであれば一生に一度のつもりで買った物件であることも多いでしょう。

そんな不動産を売るとなれば、やはり誰しも力が入るものです。
一片の後悔も残さないことは難しいにしても、極力後悔に繋がりそうな点は取り除いて不動産売却を進めていきましょう。

事例 当社の売却実績はこちら