人生のイベントは十人十色で、時として自分でも想定すらしていなかった出来事に遭遇することがあります。
大きな決断をして住宅を購入したにもかかわらず、手に入れてすぐに手放したくなってしまうこともあるでしょう。

しかし不動産は総じて購入額も価値も高いうえ、数多の物件から内見したり注文住宅であればどんな生活がしたいか夢を詰め込んだりと購入までに愛着がわきやすいものです。
そんな時に決断の一助になれるよう、早期の不動産売却について簡単にまとめました。

□5年以内に不動産売却するケースの税金

1.5年以内の不動産売却で使える制度
マイホームの売却時、「居住用財産を譲渡した場合の3000万円特別控除の特例」があります。
譲渡所得、すなわち売却価格から3000万円の控除を引いて残った金額が課税対象になる制度で、住宅の売却価格が3000万円を超えない限り税金がかかりません。

2.制度の制限
大抵の制度は無制限でなく、一定の条件のもとで使えます。
この制度も例外ではなく、条件として「売った年の前年及び前々年にこの特例を受けていないこと」というものがありますので、最短でも三年に一度しか受けられません。

□新築5年以内のマンション売却での注意点

1.分類を「新古物件」にして売り出す
新築5年以内の場合、新築や築浅とも違う、とはいえ中古物件よりは新しい、そんな分類の「新古物件」として売り出すのがおすすめです。

築10年経った中古感のある物件は避けたいけれど新築までは手が出せないといった層の目に付きやすくなります。

2.ホームステージングをする
ホームステージングとは売り出す物件の室内をモデルルームのようにおしゃれな雰囲気に演出することで、家を探している人に「この家に住みたい」と思わせる手法です。

新築5年以内の物件であれば壁や水回りの設備などの室内は新しく綺麗なため、ホームステージングの効果がより大きく感じられるでしょう。

3.適正価格に設定する
新築5年以内で見た目の上ではほぼ新築でも、市場のニーズや物件の立地などによって適正価格は異なります。
その時に最も適した売却額に設定することで物件の成約率が上がるでしょう。

□新築戸建て物件の売却は早期であればあるほど良い!

1.新築5年で一戸建ての場合、売却相場は物件購入時の約7割
国土交通省の調査によれば、新築の戸建ては5年で資産価値が30パーセント下がっています。

基本的に戸建て住宅の場合20年ほどかけて資産価値が下がり続けるため、売却を決めたのなら早ければ早いほど高値での売却が可能です。

2.売却価格は築年数とともに大きく下がっていく
売却価格が落ち着くのは20年ほど経ち新築から比べ価値が15パーセントほどになったころであり、それ以前は毎年大きく下がり続けます。

特に築15年あたりまでは毎年約5パーセントずつ下り、仮に4000万円で購入した新築一戸建ての場合、築6年で約2600万円、築7年で約2400万円、築8年で約2200万円と毎年約200万円ずつ価値が下がっていきます。

3.早く売るには工夫が必須
築5年で7割の資産価値になると聞いて驚いた方もいるかもしれませんが、日本人というのは基本的に新品を好む傾向があり「建てられてから5年」というよりは「人が5年間住んでいた」ところで価値が下がります。

人が住んだ時点で価値の下落が始まることは覚えておきましょう。

□購入5年目、まだ住宅ローンが残っているときはどうしたらいい?

現在の不動産業界ではほとんどの方が住宅ローンを使用しており基本的に住宅ローンは数十年の返済プランを考えることが多いため、築5年の一戸建てでは住宅ローンが残っていることが大半でしょう。

住宅ローンが途中でも家を売ること自体は可能ですが、物件の引き渡しまでにローンを完済した方が良いことも事実です。
その方法について3つご説明します。

1.物件の売却益をローン返済に充てる
最も理想的かつ分かりやすい方法でしょう。

物件を売却して得た利益をそのままローンに充てる方法であり、この方法を「アンダーローン」といいます。
アンダーローンの場合は売却して得た利益がローンの残金を上回る必要があるため、その意味でもこの方法は理想的といえるでしょう。

2.貯蓄から返済する
売却して得た利益ではローンを完済できない状態のことを「オーバーローン」といいます。
こうなると貯蓄からローン返済に充てる必要があるため、できれば避けたい方法になるでしょう。

3.住み替えローンで返済する
貯蓄を使っても返済しきれなかった場合、住み替えローンの利用もご検討ください。
住み替えローンというのは新居分と売却した物件に残っている住宅ローンのふたつのローンを合算して新しく借り入れることです。
住宅ローンの支払い自体は残っていても売却した物件は住宅ローンの残っていない綺麗な物件になります。

しかしこれには審査が厳しい、金利が高いなどのデメリットもありますので、使わずに済むのであれば避けた方が良いでしょう。

□少しでも高く売りたい!不動産売却のコツとは?

不動産売却する際、自分の伝手や営業活動によって売却する方はほとんどいません。
大金が動く出来事ですし手続きも多いため、不動産を売却したいときは不動産会社に仲介手続きを頼むのが一般的です。

1.売却実績豊富な不動産会社を選ぶ
世の中にはたくさんの不動産会社がありますが、中にはマンションが得意な不動産会社もあれば一戸建てが得意な不動産会社、地域に根ざした不動産会社など会社ごとの特色がそれぞれ異なります。

売却を決め不動産会社を選ぶときには自分が売りたい物件を得意とする不動産会社を選ぶのが良いでしょう。

また、不動産売却は大金を任せることになります。
信頼できる不動産会社を探す意味でも、実際の豊富さというのはひとつの指針になるでしょう。

2.査定はひとつの会社に絞らず依頼する
不誠実に感じるかもしれませんが、大金を扱う以上後悔しない選択肢をひとつずつ選ぶのは重要なことです。

現代ではいくつもの不動産会社に足を運ばずとも大体の立地や築年数といった条件をネットに打ち込むだけでおおよその売却金額を出してくれるサービスもあります。

一括査定のサイトもありますので、そういったサービスを活用して一番高値で売却してくれる会社を探すのも良いでしょう。
物件にもよりますが、不動産会社によって査定額が数百万円単位で変わることも珍しくありません。

□ぶっちゃけ築5年の需要ってどれくらい?

築5年の話ばかりしても、結局不動産というのは買いたい方が見つからなければ何年も売れず、価値がひたすら下がっていきます。
そうならないためにも住宅の需要について、築年数ごとに解説します。

1.築5年までの中古物件
まずは築5年までの物件です。
中古ではありますがやはり新しい分下落率は低く、例外的な扱いではあれど都心部の高級住宅のように新築時と比べ価値が下がらないような物件も存在します。

また、築5年の中古物件は綺麗な代わりに高いともいえますから、近所で新築物件がいくつも売りに出されているような状況では住宅の需要と供給が供給に傾き、売れにくくなる可能性も考えられます。
築浅のうちに売りに出す場合、近所にある新築物件の供給状況も確認しておいた方が良いでしょう。

2.築10年前後の中古物件
築10年前後の物件となるとほどよく価格も下がってきて中古住宅らしくなる一方、まだ目立った修繕箇所はあまりないので買い手からして購入の検討がしやすい築年数といえるでしょう。

また、このあたりの築年数であれば法定耐用年数も残っていて金融機関の住宅ローン融資も比較的受けやすいことも理由にあります。

一方、築10年前後の物件は需要が高いことが知られているため「今が売り時だ」と考える方々により供給も高く、競争が激化するでしょう。
うまく売るには、不動産会社とのコミュニケーションや連携が欠かせません。

3.築15年前後の物件
制約数からみると、マンションではこのあたりの築年数が一番契約数も多くなっています。

しかしマンションの場合だと築10年から15年の間に一般的な大規模修繕の工事時期になりますので、注意が必要です。
国土交通省のガイドラインでは築12年に1回目の大規模修繕工事を施行する時期とされていますから、ひとつの目安になるでしょう。

大規模修繕工事が終わったあとであれば問題はありませんが、工事の最中は外壁に足場がかけられたことで外観が分からない、バルコニーからの景色が分からない、など売却までの障害がいくつも増えます。
本格的に売却を検討し始めたら、マンションの管理会社に連絡して確認するのをおすすめします。

4.築30年前後の物件
最後に築年数30年ほどの物件です。
築30年を超えると金融機関の担保評価が低くなるため大きく価格が低下し買いやすくなるため、マンション・戸建住宅を問わず購入希望者が増え、制約件数も急激に増えます。

築30年を超えた物件を売却したいときに気を付けなければならないこととして、耐震基準の適合性があります。
1981年以前に建てられた住宅は新耐震基準に適合していない可能性があるためです。

□まとめ

築5年という築浅物件はあまり中古という意識も湧きにくいでしょうから、なんらかの理由により売却の選択肢が頭の中にあっても最終的に決断する際には躊躇してしまうことでしょう。

しかし、新しいということはそのまま価格の下落が少ないことに繋がります。
築浅の物件を売ることが得かどうかは一概にいえることではありませんが、選択肢として検討する中、一概に否定するほど悪手ということもありません。

住宅は人が大切にして初めて存在価値が生まれるものです。
なんらかの理由により大切にできないと思ったのなら、その住宅を次の方へと受け渡すのも素敵な選択肢なのではないでしょうか。

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