相続は家族や愛する人に対する、最後の贈り物といえます。
しかし、その裏に潜む相続法の複雑さは時に想像以上で、特に法改正は多くの人々に影響を及ぼします。
最近の相続法改正により、遺留分の取り扱いが大きく変更されました。
そこで今回は、相続法の改正による変更点をお伝えし、皆さんがこの変更を理解し適切な対応を取れるようにサポートします。
□遺留分とは何か?
*遺留分の基本概念
遺留分とは、特定の相続人に法律上保証される、最低限の相続財産の割合のことを指します。
これは、被相続人が遺言で全財産を特定の相続人に遺す場合でも、他の法定相続人が完全に無視されないようにするための制度です。
例えば、2人の子供のうち1人だけに、全財産を相続させる遺言を親が残していた場合でも、もう1人の子には一定の割合で遺留分が保証されます。
*遺留分の割合と時効
遺留分の割合は、原則として相続財産の半分ですが、相続人が直系尊属のみの場合は3分の1となります。
また、遺留分の請求権は、相続の開始と遺留分を侵害する事実を知った時から1年間、または相続開始から10年間で時効により消滅します。
*遺留分の対象者
遺留分は、被相続人の直系血族、配偶者にのみ認められています。
したがって、被相続人の兄弟姉妹には、遺留分はありません。
この点については、特に注意しておきましょう。
□相続法改正による遺留分制度の変更点
1:遺留分減殺請求から遺留分侵害額請求への変更
最近の相続法改正において、最も重要な変更点は、遺留分減殺請求から遺留分侵害額請求への変更です。
以前は、遺留分が侵害された場合、遺留分の減殺を求められましたが、これが金銭的な請求権に変更されたのです。
これにより、相続の対象となるものが共有関係になることを防ぎ、相続人間での争いを減らせることが期待されています。
2:基礎財産の算定方法の明確化
今回の改正では、遺留分算定の基礎となる財産の範囲が明確化されました。
特に、相続開始前10年間の生前贈与に注目が集まっています。
これまで、相続人に対する生前贈与は、期間制限なく遺留分の基礎財産に含まれていました。
しかし、改正後は相続開始前10年間に行われた、婚姻・縁組のため或いは生計の資本として充てられた贈与のみ、基礎財産に算入されることになりました。
この変更により、何十年も前の贈与を遺留分の計算に含める必要がなくなり、計算過程がよりシンプルで分かりやすくなっています。
3:支払いに対する相当の期限の許与
新しい制度では、受贈者が遺留分侵害額請求権に基づき金銭を支払う必要がありますが、裁判所が支払いの期限を許与できるようになりました。
この変更によって、現金不足等による受贈者の困難が軽減されることが期待されています。
□まとめ
今回は、相続法改正による遺留分制度の変更点についてお伝えしました。
遺留分の基本概念から、改正による新しい遺留分侵害額請求権の導入、基礎財産の算定方法の変更、支払い期限の設定など、改正点は多岐にわたります。
皆さんが自分自身や家族の権利を守り、より良い相続計画を立てられるように、この記事がお役に立てば幸いです。
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