農地を売却しようと考えている農家の方にとって、税金面は大きな関心事の一つでしょう。
特に、農地売却にはさまざまな税金がかかり、その計算方法も複雑で分かりにくいため、不安に思っている方も多いのではないでしょうか。

□農地売却税金の種類と計算方法

農地を売却した場合に発生する税金は、大きく分けて5つあります。
それぞれの特徴や計算方法を理解することで、売却後の税金負担を把握できます。

 

1:譲渡所得税と復興特別所得税

農地を売却した際に発生する利益を「譲渡所得」と言います。
譲渡所得には、所得税率に2.1%を乗じた復興特別所得税が加算されます。
譲渡所得の計算方法は、以下のとおりです。

・譲渡所得=譲渡収入金額-(取得費+譲渡費用)

取得費が不明な場合は、売却額の5%として計算します。
譲渡所得税の税率は、農地の所有期間によって異なります。

・短期譲渡所得(所有期間が5年以下):譲渡所得税30%、復興特別所得税0.63%(30%×2.1%)
・長期譲渡所得(所有期間が5年超):譲渡所得税15%、復興特別所得税0.315%(15%×2.1%)

例えば、農地の譲渡所得が500万円の場合、税額は以下のようになります。

・短期所有の税額:500万円×(30.63%)=153万1,500円
・長期所有の税額:500万円×(15.315%)=76万5,750円

 

2:住民税

譲渡所得には、住民税も課税されます。
住民税の税率も、譲渡所得と同様に所有期間によって異なります。

・短期譲渡所得(所有期間が5年以下):住民税9%
・長期譲渡所得(所有期間が5年超):住民税5%

上記に加えて、住民税には、所得割、均等割、固定資産税、事業税などがあります。

 

3:印紙税

不動産の売買契約書などの課税文書には、印紙税が発生します。
印紙税の税額は、契約金額によって異なります。

 

4:登録免許税

農地を売却すると、所有権が買い主に移転するため、所有権の移転登記手続きが必要になります。
この手続きには、登録免許税がかかります。
登録免許税の税率は、売却価格の一定割合です。

・2021年3月31日までの所有権移転:売却価格の15/1,000
・2021年4月1日以降の所有権移転:売却価格の20/1,000

このように、農地売却にはさまざまな税金がかかります。
それぞれの税金の特徴や計算方法を理解することで、売却後の税金負担を正確に把握できます。

□農地売却節税対策に有効な特別控除

農地売却で発生する税金は、場合によっては高額になります。
しかし、農地売却には、税金を軽減できる特別控除制度がいくつか存在します。
これらの制度を活用することで、節税効果が期待できます。

 

1:800万円特別控除

農業委員会のあっせんなどで農業従事者に農地を売却した場合、譲渡所得から800万円を控除できます。
この特別控除を利用するには、以下の条件を満たす必要があります。

・農用地区内の農地である

・農用地利用集積計画または農業委員会のあっせんなどでの売却
・農地中間管理機構または農地利用集積円滑化団体への売却

 

2:1,500万円特別控除

農地地区内の農地を、農地中間管理機構との買入協議により譲渡した場合、1,500万円が控除できます。
買入協議とは、農業委員会に売却のあっせんを申し出た後、各自治体が買入の可否を協議することです。
買入協議で譲渡が決まった場合、一度農地中間管理機構に譲渡され、その後購入者に譲渡されるという形になります。

 

3:2,000万円特別控除

特定の地域の農地で規模を縮小する農家が農地中間管理機構に譲渡する場合に、譲渡所得から2,000万円を控除できる特例です。
この特例では、特例農用地利用規定が実施される地域内であることが条件となるため、利用できる農家は限られます。

 

4:5,000万円特別控除

公共事業や区分整理などで売却した場合、最大5,000万円が控除できます。
この特例では、土地収用法による国の指定業者による農地を買取であることが条件です。

□まとめ

農地売却には、譲渡所得税、復興特別所得税、住民税、印紙税、登録免許税の5つの税金がかかります。
それぞれの税金の特徴や計算方法を理解することで、売却後の税金負担を正確に把握できます。
また、農地売却には、800万円特別控除、1,500万円特別控除、2,000万円特別控除、5,000万円特別控除の4つの特別控除制度が存在します。
これらの制度を活用することで、節税効果が期待できます。

福井・北陸周辺で農地売却を検討されている方は、ぜひ一度当社にご相談ください。

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